前期リカレントプログラム修了後、3人の受講生に感想をインタビューしました。
M・H氏 (設計事務所勤務 ・2025年度受講生)
1.受講の決め手は何ですか?
普段の建築設計の業務では様々な疑問に直面することがあるのですが、なぜそうなるのか原因が分からないことや、ツールやノウハウがないことによって検討や表現の幅が狭まっているような課題感がありました。具体的には、普段、建物の省エネ性能については汎用プログラムを用いて性能確認や申請業務等を行っているのですが、それだけでは壁の細かい構成の違いによる室内温度の変化や消費エネルギー、通風の効果など、詳細な検討までできませんでした。
こうした課題感を持っている中で、このプログラムの存在を知り、実際に講師陣が具体例を交えてカリキュラムや講義内容について説明してくれたことで、普段の疑問や課題感が解消されそうだと感じ、受講に至りました。
2.受講する上で良かった点は何ですか?
1つ目は、分からないことをすぐ質問できる点です。演習や講義の内容は、自分が納得・理解するまで分かりやすく説明してくれました。また、講師にも質問しやすい雰囲気があり、普段業務の中で疑問に思っていることも気軽に相談できた点はとても有意義でした。
2つ目は、場所・時間・設備・授業構成や進め方などが、社会人でもできるだけ負担なく受けられるように工夫されている点です。実際、業務が集中するような時期や〆切の直前などは、講義に参加できない時もあったのですが、その際はすぐにオンライン併用の形式に切り替えていただいたり、欠席した際にも充実したフォローがありました。また、内容が授業の中で完結するようにカリキュラムが組まれており、持ち帰りの課題がほとんどないように配慮されていた点も、ここまで継続できている大きな要因だと思います。
具体的な授業内容の面では、例えば環境エネルギー系の授業で、大学の実験設備を使用して理論と体感の関係を学びました。シミュレーションの操作や理論を単に座学形式で学ぶよりも、より深い知識が定着したと思います。また、測量の授業では、実務者による特別講義も組まれており、具体的な活用方法をイメージすることができました。
3.業務上の変化はありましたか?
基礎的な知識を身に付けることができているため、設計の幅は広がったと思います。一方で、この講義の軸として使われているRhinocerosや後期に開講予定のArchiCAD、環境系で使用されているシミュレーションソフト等は社内での環境整備も必要なため、設計にすぐ導入できているわけではありません。ただ、これからBIM化や環境シミュレーション等のニーズが高まってくることは想定されるため、そういった変化にもすぐに対応できるようなスキルは身に付けられていると実感しています。
4.このリカレントプログラムの魅力は何ですか?
実務をしている立場だと、基礎ことからしっかり学べる点は大きな魅力です。参加している大学院生にとっては、実務的な題材を取り扱っている点は勉強になるのではないかと思います。また、外部講師含めた各講師は実務をされている方や、最先端の研究をされている方など多様な経験を持たれている方が多く、実例や最先端の情報に触れながら、業務への活かし方をイメージしていけている点も魅力に感じています。
Y・K氏(設計事務所勤務・2025年度受講生)
1.受講の決め手は何ですか?
このプログラムの案内とほぼ同時期に、本プログラムで使用されるものと同じ機種の3Dプリンターが事務所に導入されたのですが、あまり活用が進んでいませんでした。また、AIも業務の効率化等に使えるのではないかと感心はありました。その一方、そういった最新技術に関する情報やツールを入手していても、実務で活用できるレベルまで学ぶ時間がなかなか取れていないのが実情でした。
このプログラムではAIと3Dプリンター等の活用について、決められた授業時間内で知識を取得し、演習から復習まで行えるので、時間的な制約がある中でも自分の関心のある分野について学べる点に魅力を感じました。そして、授業を通して最先端の技術を学び、その情報を社内へ普及することでGXDX化のレベルの底上げをしたいという思いがありました。また、普段だと交流の接点を持つ機会がない講師陣や他の受講生との多様な関係も築けるのではないかと考え、受講を決意しました。
2.受講する上で良かった点は何ですか?
受講の決め手にもなった、授業内で解説・演習・復習まで完結する点は良かったと思います。また、授業で学んだ知識を社内に情報を伝えられるようになった点も良かったです。具体的には、社内のメンバーが3Dプリンターを使用する際に設定を一緒に話をして進めることができました。
3.業務上の変化はありましたか?
本プログラムを通してRhinocerosやGrasshopperをモデリングやシミュレーションを横断的、効率的に使用することが可能だということがわかったので、ソフトウェアを購入したいと考えるようになりました。
4.このリカレントプログラムの魅力は何ですか?
設計事務所の統括という立場では、社内のGXDX化の推進を図る際、本プログラムを通して体系的に知識を習得しておくことで、より包括的な計画や指導が可能になり、かつ説得力も増すと強く感じました。また、受講生どうしの横のつながりも増えることで新たなクリエイティブな取り組みが増えたり、互いの事業での最先端技術の活用方法など情報交換できると考えています。授業の内容に加えて、そういった点もこのプログラムの魅力の1つだと感じました。
T・M氏(設計事務所勤務・2025年度受講生)
1.受講の決め手は何ですか?
もともと前職でプログラマーをしていたため、デジタル方面には明るく、受講の心理的なハードルは低かったように感じます。設計事務所で設計業務をしていくうえで、3次元測量技術や環境シミュレーションへ手を出したくてもなかなか時間が取れずにいる中で、本プログラムの案内がありました。講師陣がカリキュラムや講義内容について説明してくれたことで、受講内容のイメージや身に付けられる知識・スキルが明確になり、自分のキャリアにとって良い機会だと感じたため今回の受講に至りました。
2.受講する上で良かった点は何ですか?
デジタル測量系の講義では、測量技術の種類や、それぞれのメリット・デメリットについて理論的な解説があったのちに、実際に研究で使用されている機材を用いた実習があるといった、より理解を深められるような講義の構成になっていた点がとても良かったと思います。具体的には、フォトグラメトリの授業では、最初に概要の説明があり、その後カメラやスマートフォンを使用して石膏像を実際に撮影するという内容だったため、容易に理解ができました。
3.業務上の変化はありましたか?
知見を身につける中で設計に対する視座は高まったように感じる一方、設計事務所内における機材の導入やソフトウェアの購入まで至らない点が多いと感じました。しかし、環境系の授業では建築環境に関する基礎的な知識を習得できたため、授業の一部も解説があったWEBプログラムなどは、実務でもより利用しやすくなったと感じています。また、デジタル測量の機材を仮に導入できたとしたら、文化財をスキャンしてデータ化まで行うという一連の作業や、その発展形としての子ども向けのワークショップなどに使用できるのではないかと考えました。
4.このリカレントプログラムの魅力は何ですか?
普段の仕事をしながら大学レベルの高度な知識を学べる時間をとれる点が魅力に感じました。また、他の工務店や設計事務所の方と交流する機会が増えることで、新たなプロジェクトやアイデアが生まれるのではないかとも思いました。